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VOCA展 テキスト
山梨俊夫

小 山は、少し前までは、ジョージア・オキーフに触発された作品を制作してきた。それがここ2,3年のあいだに、変容を始めている。花びらを描くような、薄い 布を描くような描法は依然として保たれているが、描く対象は特定されず抽象性を一気に強くしている。そういう変化を起こしてからのこの作家は、画面 の構成のうえで堅固な骨太さを獲得し、独自性を発揮するようになったと思われる。
 自らの内部にある、まだ名付けられない感情を起点とし、水が、あるいは光が激しく溢れるような形象にそれを託して表していく披女の画面 作りは、表現主義的とも呼べる。しかし、呼称はともかく、そこには自らの方法を見出した作家がその方法に自信をもって名付け得ぬ ものを探り表そうという意志が反映されている。
 新たな展開の出発点に立った小山の作品に見られる力強さは、彼女の大ぶりな絵画構造にも変貌を引き起こし、内的なスケールをも増大させて、興味深い。
VOCA展図録

VOCA展
1994年3月15日~26日
上野の森美術館 /東京



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