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小山利枝子展


 花をモチーフにした幻想的なアクリル画を描く小山利枝子氏(1955年長野市生まれ)が、新作を含む20点余を披露している。
 花がモチーフといっても「美しい花」を描くのではない。小山氏は「花が美しいということ」とは何かを表現する画家なのだ。
 小山氏は言う。「花が美しいのは、花に美が宿っているからではない。花を美しいと感じる心の働きが人に備わっているからです。」小山氏の関心は後者、つまり「なぜ私の心は花を美と感じるのか」にある。
 花という物を写実的に描くだけでは、この問いに答えられない。だが「私」の心の働きだけを抽象的に描いても、それは同じだ。とすれば、花と私、物と心の間にはもう1つ別 の領域が存在し、実はそこに立ち現れるのではないか-。
 小山氏は、その領域こそ絵画だと考え、追求している。それは具象画とも抽象画とも呼び難い、新しい絵画のあり方なのだ。
 
1998年8月6日 信濃毎日新聞 「個展を歩く」

小山利枝子展
1998年8月4日~8月31日
丸の内長銀アトリウムギャラリー/東京



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