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激しく繊細な揺らぎ

山中 英之

   たとえば密生したカラフルな長い毛が強い風にあおられて揺らげば、こんな風に見えるだろうか。長野県在住の小山利枝子のアクリル画は、刷毛の素早いスト ロークが繊細な線のリズムを作り、画空間に激しいうねりを与えている。作者によれば、実は花弁をモチーフに描いたものだという。
そう聞くと確かに残像は見えるが、元の具象イメージはほとんど解体されており、むしろ、花びらから抽出された有機的な形状が新たな生命を得て空間にうごめくような感じだ。流れるような線の集積が作る色彩 の柔らかい諧調は、どこか神秘的で、宇宙的な感覚さえ響く。
 
2001年2月24日 京都新聞 「ギャラリー」欄

小山利枝子展
2001年2月20日~3月3日
ギャラリー16/京都



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